3、荒野に咲く白き花は
二稿目(´〜`;)


 薄暗い廃墟の中を一人進む影があった。
 そこは魔界の影響が強く、決して人が長くいていい所ではない。しかしその影は平然と大通りを歩いていた。それ
は黒く長い髪の女……だった。ロングコートを羽織り、そのポケットに両手を突っ込んでいる。
 女は通りの真ん中まで来るとピタリと止まった。そして辺りを見渡してからこう言った。
「隠れてないで出てきなさい」
 その声に反応するかのように周りの瓦礫が動き出した。中から這い出してきたのは得体の知れない者たちだった。
薄汚れたボロ布を顔に巻きその蠢く姿はまるで地獄を這い回る亡者の姿だ。
「ふん、歓迎してくれるってわけね」
 亡者は荒い息を吐きながら女に近づいてくる。あっというまには黒髪の女を取り囲むと牙をむき出して威嚇した。女
はそれに怯えもせず平然としている。中の一匹の亡者が痺れを切らした女に襲い掛かった。牙をむいた口が迫った
時、女は隠し持っていたサブマシンガンを亡者の顔に向けた。
「慌てないで」
 引き金が引かれた。亡者の顔がずたずたになる。腐った肉片が周囲に飛び散った。
 仲間をやられた亡者達は怒りだすと一斉に飛び掛った! しかし女はその場から飛び上がった。その跳躍力は信じ
られないほど高く、一瞬で瓦礫の山の上に飛び移った。標的を見失い右往左往する亡者たちに黒髪の女はサブマシ
ンガンを撃ちまくった。銃弾は的確にヒットし、亡者たちはバラバラになっていった。数匹の亡者が銃撃をくぐり抜け女
の立つ瓦礫の山に這い上がっていった。女はそれを狙撃しようとしたがマシンガンの弾薬が尽きてしまう。
「ちっ!」
 山の上に辿り着いた亡者たちは女に飛び掛った。しかし亡者は女の服にも触れる事はできなかった。
 亡者の頭が宙に舞う。ロングコートに隠してあったブレードが胴体と切り離したのだ。
 亡者たちの群れの足元に腐った頭が転がった。
「ぎぎ…」
 生き残った亡者たちが一斉に襲い掛かった。
 だがその者の剣さばきにより、ものの数分もたたないうちにその場に動くものはなくなってしまった。
 女は一呼吸ついて周囲を見渡した後、白い百合を亡者の残骸の上放り投げた。
「死者への手向けの花かい?」
 突然の声に女はブレードを再び構えた。
「ブラボー、ブラボー、見事だね」
 物陰からハンチングキャップを被ったメガネ男が手をしながら現われた。
 女はブレードの剣先を男の顔にを向けた。
「おっと……君を呼んだのは僕なんだぜ」
「あんたが依頼主? 一体、何のまね?」
「いや、ちょっと実力を測ったのさ。合格、合格」
 メガネの男は満足げに笑った。
「見事なもんだ。ああ、紹介が遅れたけど僕の名前はロキ。君の依頼主ってことで」
「胸糞悪い術を使うね。気にいらないわ」
「ああ、亡者どものことかい? 君の実力を測りたかったんでね。機嫌をそこねさせちゃったな?」
 ロキは肩をすくめた。
「でも生きた人間で試した方がよかったのかい?」
「……どっちでもいい」
 女はブレードを鞘に収めた。
「ふーん……まあ、いいや。ところで君は吸血鬼専門と聞いていたが?」
「ある吸血鬼を探してるってだけ。特に専門じゃないわ」
「ってことは人もやれる?」
「情報は持ってるの!」
 まどろっこしい男の質問に女は強い口調になった。
「もちろん、あるよ。で……依頼は受けてくれるのかい?」
「あんたの情報の精度次第よ。既に持ってる情報だったら何の意味もない」
 ロキは短剣を放り投げた。
 女はそれを掴むと柄の紋章に目を瞠った。
「見覚えのある紋章だろ? そいつの住処から名前、家族構成、、体重、生年月日、星座から好きな食べ物まで何も
かも教えてやる! どうだい?」
「……わかった。仕事を請けるわ」
「結構、結構。いいね…最高」
 ロキは指を鳴らすと一枚の写真が女の足元に落ちた。女はそれを拾い上げた。そこに写っていたのは薄いブルー
の髪に染めた女だった。綺麗な顔立ちから女だったが、かなり意思の強そうな目をしている。多分、手こずりそうな相
手だろう。
「そいつをやってほしい」
「何者?」
「名前は矢追有理。スレイヤーズだ。妖魔を狩る者たちの一人で人間だよ。人間は、だめかな?」
 女は写真をしばらく見つめた後、口を開いた。
「関係ないわ」
「商談成立だね」
 男のニヤつきが増した。

3、荒野に咲く白き花はA
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