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「おい、誰かが助けを求めてる」
「あ? 何言ってるジョーイ」
「誰か民間人が捕らわれてるのかもしれない」
「何も聞こえないぜ、おい? ジョーイ、ジョーイ!」
 ジョーイはニックを制止を無視して暗闇の中に入っていった。
「ジョーイ! くそっ! イカレたか」
 ニックはMP−5を構えると暗視ゴーグルを下げた。
「こちら、アルファ1、誰か民間人が捕らわれてるらしい。ジョーイが先行した」
『アルファ1、待て』
「いや、ジョーイを援護する」
 ニックはジョーイを追って暗闇の中に踏み込んだ。
 闇の中を進むと光が一点照らされた場所が見えた。その中に立つのはジョーイだ。MP−5も下ろし、呆然としてい
た。
「ジョニーボーイ、大丈夫か?」
 ニックはジョーイに近づいた。ジョーイは呆然としながら顔を向けた。
「おい、ニック、これ見ろ」
「何?」
 ジョーイの足元に女が横たわっていた。
「ユカ…? なんで?」

 知ってる女だった。
 しかし、彼女は数ヶ月前に死んだはずだった……

 
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2006-04-27 Thu 00:07
「ばかな? なんで?」
 ニックは暗視スコープをはずした。そこに横たわる女の姿を確かめた。
 それは間違いなく知った女だった。
 ニックはひざまずいて顔をのぞきこんだ。
「ユカだよ。これは……」
「彼女は死んだろ。なぜここにいる?」
「……死体を運ばれたんだ」
「ってことはこいつはもうヴァンパイヤだぜ!」
「言うな!」
 ニックは横たわるユカをかかえ上げた。
「…連れて帰る」
「おい、ばかいうな! ヴァンパイヤだぞ」
「それでも連れて帰る……」
 ジョーイはハンドガンを引き抜いてニックに向けた。
「だめだ! ここで殺る!」
「俺を殺すのか?」
「場合によってはな」
 ニックは振り向きざまにジョーイの手を蹴り飛ばした。ハンドガンが床に転がる。こんどはニックはハンドガンを抜い
た。
「邪魔するな。ジョー」
「どうしたってんだ? もっと冷静なはずだろ?」
「俺は冷静だぜ」
「なら、わかるだろ? 彼女は吸血鬼だ」
「言うな!」
 ジョーイに銃口を向けたまま、ニックは再びユカを抱きかかえようとゆっくりと下がっていった。しかしそこにユカの姿
は無かった。横たわっていたはずの場所にユカがいない!
 背後に気配を感じとっさにハンドガンを向けたニックは驚いた。そこにはユカが立っていたのだ。
「ユカ?」
「そんなもの私に向けないで…ニック」
「本当にユカ…君なのか?」
「そうよ、わたしの愛しいひと……どうか、あの時のように私を見つめて」
 ユカは以前のよう優しい微笑みを浮かべニックに近づいた。手がニックの頬にそっと触れられる。
 その手は氷のように冷たかった……

「よせ! ニック!」
 ジョーイが叫んだ!


2006-06-04 Sun 10:49
 目の前にいるのは、もう死んだはずの人間だった。しかし、彼女は生前と同じように微笑み自分を見つめていた。違
うのはその微笑みは暖かいものではないことだった。
「ユカ……」
 ユカを抱きしめるニック。ニックの肩に顔をうずめたユカは微笑んだままだったが目は笑っていなかった。その目は獲
物を狙うハンターと同じだ。口元から鋭い牙が見えた。
 ナイフがユカに額に突き刺さった。
「うっ!」
 ユカはそのまま倒れた。
 足元に倒れるユカをニックは呆然と見つめていた。
 ジョーイがニックに近寄った。
「悪いな。こうしなけりゃお前、咬まれてた」
「……冷たかった」
「何?」
「冷たかったんだ…・・・彼女」
「吸血鬼に体温は無い」

「何てことを…!」
 誰かの声が突然聞こえた。二人は周囲を探したが、声の主は見当たらない。
「愚かな人間め。否定されるべきは我々ではなく、お前たちだ」
 やがてその声が部屋の奥の壁から聞こえてくるのに気がついた。ライトを照らすと、そこに現われたには壁に埋め
込まれた恐ろしい形相をした怪物だった。蝙蝠の羽を持ち、顔は獣とも人間とも区別のつかない。鋭い牙を生やし、
金色の眼は動いていた。
 とっさに自動小銃を構える二人は確信した。
"これが俺達の探していたモノ"だと!

 自動小銃が発射された。無数の弾丸が壁の怪物にぶち込められた。しかし怪物は弾丸をものともせず壁から這い
出し始めた。
「紫外線手榴弾!」
 特別製の閃光手榴弾のピンが抜かれた。ニックの合図で手榴弾は壁から這い出そうとしている怪物めがけて放り
投げられた。
 数秒で物凄い閃光が部屋を照らし出した。暗闇の中に潜んでいた数匹の吸血鬼が強烈な紫外線の光を浴びて灰
になった。
 しかし怪物は紫外線で表面を焼いたもののすぐに再生させた。
「くそっ! こいつ普通じゃねえ!」
「連中はみんなそうさ…こちらアルファ1! 大物と遭遇した。早く来てくれ! くそっ! 通じねえ!」
 壁から抜け切った蝙蝠の羽を持った怪物はニックたちも前に立ち塞がった。巨大な蝙蝠の翼を広げると牙を剥き出
しにして二人を威嚇してきた。
「残弾は?」
「弾丸カートリッジが4。ハンドガンのカートリッジが2。閃手榴弾1の通常の手榴弾が1だ」
「俺も似たようなもんだ。くそ! 遮蔽物は!」
 怪物は四つんばいになると姿勢を低くした。食肉動物が獲物に飛びかかる前の態勢だった。
「あそこに隠れろ! 行け!」
 ニックは祭壇を見つけると指差した。ジョーイが祭壇の裏に走る。ニックは援護の為に自動小銃を撃ちまくった。そ
れを合図にしたかのように怪物が飛び掛った。
 ジョーイは祭壇の裏に飛び込むと自動小銃を構えて身を乗り出した。
「くっそったれめ!」
 視線に何かが入った。自分の横だ。銃口は怪物に向けたまま横目でそれを見た。
「痛かったわよ。ジョーイ」
 そこにいたのは額にナイフが刺さったままのユカだった。
「Bitch……」
 ユカは額に刺さったナイフを引き抜くとジョーイに突き立てた!


 







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