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「なぜ城ごとふっ飛ばさない?」
 煙の上がる城を見て軍の指令官がそう言った。
「その方が簡単だろ?」
「野蛮ですね」
 ジェイスン・クルーガーは肩をすくめた。
「野蛮? アフガン…イラク…ずっと前はベトナムと続けてきた事だろ。今更どうだっていうんだ」
「あれは"戦争"です」
「これは戦争ではないのか? アパッチまで出撃してる」
「いいえ、違います。これは戦争ではありません」
「では何だね?」
「これは"駆除"です」


 ニックたちはMP−5を構えて部屋の中に入っていた。
 ライトが点いている。ここには"あの生き物"はいないだろう。だが、どこかに出入り口があるはずだ。ニックたちは注
意深く部屋の中を見渡した。
 書棚に並ぶ本はどれも古そうだ。中にはとんでもなく高額な物もあるだろう。
 ニックは特殊ゴーグルをはめてもう一度、部屋の中を見渡した。本棚を見た時、一ヶ所だけ、指紋の異常に多い箇
所を見つけた。ニックはその本を取った。だが本は引き出せなかった。本は半分出たところで止まり、それがきっかけ
のように隣のドアが横にスライドした。
「ビンゴ!」
 ニックとジョンはハイタッチした。
 その時、無線が入った。
『こちらブラボー、遭遇した』
「ブラボーに先を越された」
「どうする?」
「おれたちはこのまま行く」
 ニックは無線のスイッチを入れた。
「こちらアルファ1、隠し扉を見つけた。"巣"かもしれない」
『了解、アルファ1、チームが行くまでそのまま待機しろ』
「了解、アルファリーダー」
 ジョンは首を横に振った。
「待て? 待てだと? 俺達は犬か」
「俺達だけでは危険ってことだ」
「ビビッたのか?」
「確実に仕事をしたいだけだよ」
 ジョン・ファーガスンは隠し扉の奥を覗き込んだ。
 そこには底なしの闇が続いていた。


 ブラボーチームはゆっくり"それ"を取り囲みを始めていた。
 それは古めかしく豪華な"棺"だった。
 チームは用心深く棺に近づいた。
「やれ」
 チームリーダーの合図で爆破担当者が棺の継ぎ目にプラスチック爆弾をつけていく。
 準備が済むと安全な場所まで離れた。
 皆、MP−5を構えて棺に狙いをつけていた。何が現われても対処できるようにだった。
 チームリーダーがハンドサインを出した。
 起爆スイッチが押され棺の蓋が爆破された。勢いで蓋は天井に吹き飛んだ。
 赤いレーザーサイトが一斉に棺に当てられた。
 棺は爆破により少し焦げていたが何も起こらなかった。
 ブラボーチームは棺に近づいた。
 中には青白い顔をした男が入っていた。
 彼はただの死体ではない。
 生きた死体なのだ。
 隊員の一人がショットガンに似たライフルを持ってきた。銃口の先端には銀製の杭が取り付けられている。圧縮ガ
スで飛び出す仕掛けだ。その威力は分厚い象の肉をも貫通させれるものだ。
 慣れているのか躊躇することもなくその隊員は銀の杭の先端を棺の中に眠る男の心臓に当てた。
 チームリーダーは頷いた。
 引き金が引かれ、一気に圧縮ガスは銀の杭を打ち出し、男の心臓を貫いた!
 突如、男の眼が見開かれた。
 周りにいた隊員たちは一瞬、驚き後ずさりする。
 棺の中の男は人間とは思えない叫び声を上げた。同時に身体から青白い炎が舞い上がった。炎は一瞬で消え、男
も灰となった。
 目的を果たしたブラボーチームの隊員たちは安堵の息をもらした。
「こちら、ブラボー。一匹退治した」
 チームリーダーが通信を入れた。

 
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2006-04-09 Sun 18:16
 城の屋上ではタンゴチーム連行された城の主が連れ出されていた。
「はなせ! くそ!」
 手錠をはめられながら隊員を振り払った。
「止まれ!」
 改造型のMP−5を構えて叫んだ。
「おまえらにマスターは殺せない! きっと後悔するぞ!」
 そう言うと男は躊躇せず城から飛び降りた。
「しまった!」
 男はそのまま地面に叩きつけられた。
「アーメン」
「その祈りは奴らには迷惑だろ?」
「……そうだな」
 強烈な風が埃を舞い上げた。隊員が見上げると黒いヘリが頭上を飛んでいた。ヘリは高度を下げ始めた。部隊を指
揮するジェイスン・クルーガーを乗せたヘリだ。ヘリが着陸すると先に武装した兵士達が降りた。最後に背広姿のジェ
イソンが降りた。
「だいぶ片付いたな」
「いや、まだまだです。大物も見つかってません」
「さっき、何か落ちたな。どうした?」
「城のオーナーのルーサーです。自殺です」
「ほんとに?」
 タンゴチームの隊長は肩をすくめた。






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