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二稿目
黒いハマーのエンジンが低く轟いた。
「おーっ! すげーっ! 車高たけーぇ! よくこんなの見つけてきたねー」
有理は羨ましげにハマーの中を覗き込んだ。
「私はスレイヤーズより高給取りだから」
紫は車から顔を出してそう言った。
「いいなーっ! いいなーっ!」
「おめえ、運転できないじゃん」
ロクが馬鹿にしたような目で有理に言った。
「ん? 練習しよっかなぁ……ボロい軽バンで」
「ボロい軽バン……いや、俺のは貸さねーぞ!」
名残惜しそうな真田のばあさんは紫に小包を手渡した。
「タマゴだよ。お前の好きなタマゴかけご飯にしなぁ」
「ありがとう……おばあちゃん」
「どうしてもいくの? 紫さん。そういった荒事はあたしたちスレイヤーズで引き受けてもいいよ」
紫は首を横に振った。
「ううん。こ昔の過ちが全て帳消しにできるなんて思わないけど、れは私が決着をつけなきゃならないことだから……
五月さん、おばあちゃんの事頼みます」
「はい、私もマメに真田さんのところに顔を出すようにするわ。安心して」
紫はにっこりとした。
「紫、これもってけ」無表情で封筒を差し出すロク。
「これは?」
「東のスレイヤーズへの紹介状だ。知ってる連中がいてな……協力してくれるはずだぜ」
紫は封筒を懐にしまった。
「ありがとうロクさん」
ギヤが入れられ、ゆっくりと走り出すハマー。
「しっかりとカタつけてこいよーっ!」
窓から手が振られた。
黒いハマーは荒地の中を遠ざかっていった。
「いいなぁ、あの車……殺し屋って儲かるんだな。あたしも殺し屋やってみよっかなあー」
「有理さん!」「有理!」
大声で怒鳴りつける五月とロクに有理は焦った。
「じょ、冗談だってば……」
気まずそうに愛想笑いを浮かべる有理の姿が可笑しかったのかリーヴァは大笑いしていた。
砂埃を舞い上げ荒野を進む黒いハマーの中では紫が有理たちのことを思い出していた。
「矢追有理……ふふふ、変な子。でもいい人たちだった……もっと昔に出会っていたらなあ……」
開けっ放しの窓から気持ちのいい風が吹き込んできていた。
車は東の街を目指した。
おわり
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