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二稿目
ロックは無言でカウンターにパスタをのせた皿を出した。
「おっすまねえな」
それを取ろうとした有理だったがパスタは下げられた。
「お、おい! 何すんだ! こら!」
「これは、そこのちっさいの用だ。おめーのじゃねえ」
ロックは有理の横にちょこんと座る少女を指差した。不思議そうに見つめ返すレーヴァだった。
「腹すんてんだろ? ほら…なんだ…食いな」ロックは鼻の頭を掻きながら照れくさそうにそう言った。
レーヴァは有理の顔を見た。
有理は眉をしかめながらうなずいた。有理はにっこりと笑うとパスタに手をつけ始めた。
「なんで、こいつにあって、おれにねーんだよ」
「おめーは太りすぎだ!」
「えっ?」
ハッとしてお腹を見る有理。
「ダイエットしろ! それに女の子は”おれ"って言葉は使わねー!」
「う、うるせーよ」
有理は顔を赤くして怒鳴った。
「もう、ロクさんもいじわるしないで」
五月が困った顔で仲裁した。
「いじわるじゃありません。俺はこいつの性根を治そうってんですよ」
「まあ、まあ、ロクさん。あっ、有理さん、私の食べる? まだ手をつけていないし」
「いけません! さつきさん! し、しかたがねえ…おい! 有理、今、食いモン作ってやるからありがたく思いな」
「ああ、感謝するぜ。五月の姐さんにな。言っとくがテメーにじゃねえ」
「ふん! 口の減らねえ奴だ」
そう吐き捨てるように言うとロックは厨房に戻っていった。
「くそが! いちいちつっかりやがって。あいつおれのの事、嫌いなんだ」
「そんなことはないわ、有理さん。あれでロックさんはあなたの事を気にかけてるのよ」
「はっ! ありえねえ」
「だって他の誰かがあなたの悪口を言うと機嫌が悪くなるもの」
「え?」
「ほんとはロクさんてあなたの事、気に入っているのよ」
「よ、よしてよ、五月さん。気持ちわりーって」
有理は顔を赤くした。
その横でレーヴァが美味しそうにパスタをほお張っていた。
その時、乱暴にドアが開かれた。
客たちが一斉に入り口を見た。
ドアを開けて入ってきたのは甲冑を着込んだ集団だった。片手に剣や斧をもって異様な雰囲気を漂わせている。
「よ、妖魔だ!」
誰かが叫んだ。
それを合図に発砲が始まった。銃弾は魔界の騎士団たちに向かって放たれた。
魔界騎士団は盾を並べて隊列を組んでだ。盾は銃弾を跳ね返していく。
「突撃!」
その号令と共に魔界騎士団は盾で銃弾をガードをたてたまま客たちの中に突っ込んでいった。
乱戦が始まった! いたるところで銃声と叫び声が聞こえた。
「五月さん! 危ない!」
流れ弾が飛び交う中、戸惑う五月をロックが抱えてカウンターの中に逃げ込んだ。
「ロクさん、一体何が?」
「わかりませんがここは危ないです」
「そうだ。やべえよ」
いつの間にか隣に有理とレーヴァがいた。
「おまえ、"ストライカーズ"だろ。ナントカしろ! 俺の店がメチャメチャになっちまう!」
「言われなくたってなあ……」
有理は深呼吸するとグロックを二丁もってカウンターから飛び出した。
それに気付た騎士団が有理の方を見る。
「くたばれ!」
有理は二丁のグロックを撃ちまくった。
魔界の騎士たちが次々と倒れていく。
「こいつは"聖なる祈り"を施した銃弾だ! 一味違うぜ!」
ボスらしき魔界騎士が有理の前に立った。
有理はすかさず狙い撃ちした。しかし銃弾は魔界騎士の剣にはじき返された。
「おっ?」
ゆっくりと剣を下げる騎士。
「この銃弾……おまえか? ヘルキャットの額を打ち抜いたのは?」
「お前のペットだったのか? ふん! こんどからちゃんと鎖をつけとけよ」
騎士は剣を振り上げると有理に襲いかかった。
有理はカウンターからジャンプした。騎士の視線が有理を追う。
「こっちにもいるぜ!」
魔界騎士が背を向けた隙をついてカウンターからショットガンを構えたロックが姿を現した。
その声に振り向いた魔界騎士だったが遅かった。ロックはショットガンの引き金を引いた。
魔界騎士は無数の散弾を頭に浴びて吹き飛んだ!
「おお、すげー。おい、それって"聖弾"なのか?」
「違うが……俺の愛の心がこもってる」
「はあ? 愛?」
ロックは五月をちらりと見た。視線に気付き顔を向けた五月にロックは顔を赤くして目をそらした。
「へえ……そんなんでも効くのか」
有理は傍に近寄って倒れた魔界騎士をつついてみた。
いきなり魔界騎士は起き上がった! 魔界騎士はまだ死んでいなかった。
「おわっ!」
驚いて後ずさりする有理。魔界騎士の顔がどんどん再生していった。
「おい! だめじゃん! お前の愛の力!」
「そ、そんな…・・・。くそ! 俺の愛の力はまだ足りないのか! すんません! 五月さん!」
「えっ?」
何のことかわからず、きょとんとする五月だった。
再生しきった魔界騎士は剣を振り上げて、そばにいた有理に切りかかった。
「うわっ!」
寸でのところで避ける有理だったが髪の毛が少し切られた。
「まぶねえーだろ! このやろー!」
「”レーヴァテイン”を返せ……」
魔界騎士がささやくようにそう言った。その声は地の底から聞こえてくるような低く恐ろしい声だった。
「はあ?」
有理は眉をしかめた。
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