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二稿目
墓穴の中に棺がゆっくりと降ろされていく。
神父が祈りの言葉を唱えると参列者の一部からすすり泣く声が聞こえた。
任務を終えたニック・ブラックウェルが直行したのは葬儀だった。
サングラスをかけなおした。それは気持ちの平静を保とうとする心理の表れなのかもしれない。
棺が墓穴の中に降ろされるとブラックウェルすぐにその場から離れた。
「……ユカは気の毒だったな」
車で待っていた相棒のコルテスがブラックウェルに声をかけた。
「重度の病だったらしい……血液の病気かなんか……でも、もう治ったって言ってたのに」
「本人はそう思っていたのかもな。ほら、癌を身内だけに告知するケースってあるじゃないか」
「そうかもな……おい、お前も並べばよかったのに」
「ユカを知らないわけじゃないが、別に親しくもなかったし……」
「あの娘が嫌いだった?」
「そうじゃないさ。彼女はいい娘だったよ。俺も好きだったさ。ただ……」
コルテスは気まずそうに目を伏せた。
「嫌いなんだ。墓ってやつが」
コルテスはエンジンを掛けるとアクセルをゆっくりと踏み込んだ。「どのくらいの付き合いだ?」
「半年だ。でも本気になったのは3ヶ月前だ。……病気の兆なんて見せていなかったのに」
「自分の未来なんて知らない方がいいのさ」
「いい未来だと思ってた」
「俺たちの仕事を考えろよ。生きた"死体"相手だぜ? 幸せな未来なんてあるもんか」
「神聖な仕事だ」
「俺にはクソ溜めのクソをすくっているようにしか思えないね」
「吸血鬼はこの世にいちゃならない」
黒い4WD車は墓場から離れていった。
車に乗り込もうとしていたユカの両親をコートを着た二人の男が引き止めた。
「娘さんはお気の毒です」
男達は身分証明書を見せた。
「FBIが何で娘のことを……?」
「少し気になる事がありましてね。棺を埋めてしまう前に調べたいんです。ご協力願えますか?」
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