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二稿目
「お前さ……真田のばあちゃんの孫だろ?」
紫は何も答えなかった。
「月に一回顔出してるのになんで名のらないんだよ」
「お前には関係ない……」
「関係あるさ。あたしを殺す代金で、ばあちゃんとこの花買うんだろ?」
「何も知らないくせに」
「知ってるさ! お前、ホントは、ばあちゃんとこ、帰りたいんだろ!」
無表情だった紫の細い眉が歪んだ。
「帰れるもんか……」
「えっ?」
「帰れるもんか! こんな身体で! 今の私は半分吸血鬼のデイウォーカー! 人間じゃないのよ!」
紫の瞳から涙があふれ出た。冷静だった紫のむき出しの感情に有理は少し戸惑った。
「私だってどんなにばあちゃんに声をかけたいか……そんな気持ち、あんたなんかにわかってたまるか!」
うつむく紫。
「紫……」
紫は急に顔を上げた。その表情は厳しくなっていた。
「私が、ばあちゃんのところに戻る為にはあんたを殺らなくっちゃならない」
「あたしを殺ったって何も変らないだろ。ただ金が入ってきてお前は花を買うだけ」
「……今回の報酬は金じゃないのよ」
「何?」
「報酬は私を吸血鬼に変えた男の居場所」
「どういうことだ!」
「吸血鬼はね、血を吸った者の僕となる。そしてマスターとなる吸血鬼が死ねばその支配から開放される。私は私を
咬んだ男を探し出して殺す!」
「殺すとどうなる?」
「マスターを失った吸血鬼たちはすべて死ぬ運命」
「そしたらお前も死んじゃうじゃん」
「そういうわけか私は半吸血鬼。死ぬのは吸血鬼の部分……そしたら私は人間に戻れるかもしれない……」
有理は唇をかみ締めた。
「……なんでだよ。くそっ!」
ハンドガンのグリップを握る手に力が込められた。
「お前は死ね!」
紫はブレードを抜いて跳んだ!
「ちっ!」
有理は空中の紫めがけてグロックの引き金を引いた。
「無駄だ!……うっ!」
しかし、、銃弾が紫の左肩をかすめたときその表情が歪んだ。紫は片膝を着き着地すると左肩を押さえた。指先か
ら白い煙が上がる。
「おかしな小細工を……何を使った?」
「銀弾だよ! 聖なる祈りってのを施してある対吸血鬼用さ」
「それなりの用意はしてきたってことか」
「まあね。高かったんだから……これ」
有理は口をとがらした。
「……確かに、その銃弾は厄介ね。でもそいつがどれくらい役に立つかしら」
紫は立ち上がると手を広げた。まるで撃ってみろと言わんばかりだ。
「何のつもりだ?」
「撃ってみなよ。青髪のスレイヤー!」
有理は引き金を引いた。
高速で銀の銃弾が紫めがけて飛んだ。紫の眼が見開かれた! 弾道を見切ると紫は銃弾を一瞬で避けた。
「あれ?」
有理は紫の芸当に驚いた。
「こっちの番よ! スレイヤー!」
紫は再びブレードを振りかざすと有理めがけて突っ込んできた!
「くそ!」
グロックの引き続ける有理だったが銀弾がついに尽きてしまう。
「やばっ!」
信じられない速さで迫る紫は勝ちを自覚した。
妖しく光るブレードが有理に振り下ろされた!
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