4、霊水山のゴーストストーリーA


 ロクの軽バンに揺られること一時間、有理たちは山の麓まで来ていた。
「ここからは歩きだ」
 車から降りる全員。五月はいつもの和服ではなくジーンズにジャージというラフな格好できていた。
「五月さん、和服姿もいいですがたまにそんな服もお似合いです」
 ロクが顔を赤らめてそう言った。
「そう? ありがとう、ロクさん。久しぶり着たんだけどちょっと太ったみたい」
「太っただなんてそんな! そんなこたぁありやせん!」
「おい、ゴリラ、吼えてねえでいくぞ。荷物持て」
「だ、誰がゴリラだ!」
 一行は山道に入った。

 しばらくすると有理が立ち止まった。
「どうしました?」
 有理は人差し指をだした。
「……誰かそばにいる……」
 有理はグロックに手をかけた。
「動くな!」
 有理は銃口を林に向けた。ロクも持っていたショットガンを同じ方向に向ける。
 白い影が走った。長い黒髪のようなものが見える。
「……人間じゃねえな。妖魔か?」
「有理、弾は?」
「聖弾が入ってる」
「ちっ、俺のは通常弾だぜ」
 ロクはそれでもショットガンを構えて周囲を警戒した
「気をつけろ。どこかに隠れてるぞ」
 突然、背後に何かの気配を感じた。素早く振り向いてグロックの引き金を引く有理。
 2発の銃弾が林の中に撃ちこまれた!
「やめろーぉ!」
 どこからか叫び声が聞こえた。

 ハンドガンを向ける有理とロク。
「やめろ!」
 どこからか現われたおかしな格好の男が林の中から飛び出した。その跳躍力は常人を遥かに上回っていた。
 男は着地すると有理に向けて剣を振りぬいた。
「ちっ!」
 とっさにその一撃を交わす有理はグロックを男に向けて撃った。男に銃弾は当たった! しかし次の瞬間、姿は黄
色い札に変ってしまう。
「なにっ?」
 有理は目を丸くした。
「気をつけろ! 有理、おかしなトリックを使うぞ!」
 有理は背中の引き抜くと"虎鉄"を構えた。
 またもや林の中から男が飛び出した。
「こんどは本物かぁ?」
 男は剣を構える。
「この山で勝手な狼藉はよしてもらおうか!」
「うるせえ! 妖魔の味方なら容赦はしねえぞ!」
「二人ともやめて!」
 五月が割って入った。


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