4、霊水山のゴーストストーリーB




「どいてよ! 五月さん。そいつは危ないって」
「有理さん、誤解よ。この方が私たちの会いに来た人!」
「え? このコスプレくんが?」
「すみませんでした。私たちは遥々あなたを訊ねてここまできたのです。誤解があるようですがどうか剣をお納めくだ
さい」
 五月の丁重な言葉に男は剣を背中の鞘に収めた。
「……私は雷鳴と申す修行中の道士。あなたがたは?」
「私は甲賀五月。こっちは……」
「矢追有理。スレイヤーだ。そっちのゴリラが…」
「ゴリラではない。ロクだ。居酒屋店長」
「で、この子が……」
 有理がリーヴァを指差したとき男の表情が変った。いきなり剣を構えた。
「なんだよ! お前」
「下がっていろ! その者人間に有らず! 妖魔の類! 放っておいて良きことはあらん!」


 リーヴァを背後に隠す有理。
「なんだ! てめえ! いちゃもんつけるってのか!」
「陰と陽の均等を保つのが我の役目! 邪魔する者は容赦はせん!」
「おめえだって、さっき妖魔かばったじゃねーか」
「あれは妖魔ではない! 幽霊だ!」
「えっ? 幽霊?」
「と…とにかく邪魔立てするな!」
 その時、雷鳴の前に白い影が現われた。
「絽菊……」
 白い影は美しい黒髪の女は雷鳴の前に手を広げて立ち塞がった。
「おやめください、雷鳴様。この子供に悪意はございません」
「絽菊……?」
 雷鳴は躊躇したが立ち塞がる美しい女の言葉に大人しく剣を下げた。
「おまえ、人間じゃねえな……」
「なんでわかるんだ 有理?」
「だって身体透けてるぞ?」
「あっ!」
 慌ててロクはショットガンを構えなおした。
「おい、ゴリラ。幽霊に散弾は効かねえぞ」
 有理はグロックを下げると別のホルスターからリボルバーを抜いた。
「こいつは"霊弾"だ。ゴースト退治ならこっちだな」
 雷鳴の眼が鋭くなった。手は再び剣の柄にかけられた。
「貴様……絽菊に手を出すなと言っているだろ」
「お前がリーヴァに手を出す気だったらこっちもやるって事さ! ほら! さっきから隠し持ってる"札"を捨てなって!」
 雷鳴は隠していた左手に持った呪術符を放した。数枚の黄色い札が地面に舞い落ちる。
「道術士ってのは紙切れ使って変なトリックを使いやがる。油断ならねえよ」
 有理はリボルバーをくるりと回転させるとホルスターに収めた。
 白い幽霊は怯えたのかその場を飛び去っていった。
「絽菊!」
 雷鳴は白い幽霊に向かって叫んだ。
「なんだい? あれ」
「お前等には関係ない」
 そう言った有理に雷鳴は素っ気無く答えた。
「俺に話があると言うなら場所を変えよう。ここは"氣"が良くない」


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