4、霊水山のゴーストストーリーE


「ともかくそいつは封印した方がいい」
 雷鳴はリーヴァを指差してそう言った。片手には霊符が握られている。
「封印って、なんでそんな事すんだよ!」
「それは人間界にはあってはならぬ存在。扱えるのはそれが生まれた地のみ。このまま放っておいては必ずや災い
起きる!」
「そんなことさせるか!」
「お前は人間ではない者をかばうか!」
「はあ? お前だって幽霊かばったじゃん!」
「あっ…そ、それは……」
「あれはいいのか!」
「い、いいのだ!」
「ずるいぞ!」
「ずるくない!」
 子供みたいなやり取りが続いた。
「あの……雷鳴さん。あの"絽菊"と呼ばれた幽霊には何かあるのですか? 普通、道士さま達はあのようにさ迷う魂
を霊界に導く役目もあると聞きますが」
 五月が雷鳴にたずねた。
「五月さん! こいつはずるいだけだって」
「お前は黙ってろ、有理。お前が話すと子供の喧嘩みたいになる。ここは五月さんに任せろ」
呆れたロクが口を挟んだ。
「こ、こどもぉ……?」
 有理はロクの言葉にカチンと来たが確かに穏やかな五月の方がこういう事は上手い。有理は大人しく従った。
「あの霊もあのまま、さ迷っては生まれ変わることもできないはず。察するところ雷鳴さんはあの幽霊を憎くも思ってお
られない様子。ならばなぜ、幽霊としたままでおくのか……」
 雷鳴は腕組みして目を閉じた。
「……"儀"だ」

戻る     

トップへ
戻る
直前のページへ