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「"儀"?」
「そう……私がこの地て修行を始めた時、崖から足を滑らして谷底に落ちたことがある。その時、命を救ってくれたの
があの絽菊なのだ」
「幽霊に命を救われたの?」
「この"霊水山"は幽界と現世の境が曖昧な空間だ。本来、普通の人間に見えない幽霊の姿さえ実体化する。最初、
未熟な自分が幽霊の姿を労せず見れることを貴重に思った。絽菊はこの世に未練はあるものの決して悪意のある存 在ではない。それどころか心根の優しい人だったし……とにかく私は絽菊を祓わなかった」
「……なんだ。おまえ、絽菊って幽霊が好きなんじゃん」
有理の言葉に周囲に沈黙が流れた。
「な、な、なにを言う?」
雷鳴の顔が赤くなり大いに動揺した。
「だって、なんかそんな感じだぞ」
「お前はホント、なんでも直球だな。雷鳴さん、わかります。その気持ちわかりますよ」
ロクがそう言った。
「なんだよ、ロク。お前、こいつのトモダチ関係かぁ?」
「うるせえ。男にしかわかんねえ相手への想いやりってのもあるんだ。あっ! 後でアド教えますんで。今度ぜひ語り
合いましょう」
「あほか!」
「ご、誤解だ! 私は幽霊に恋など!」
「まあ、ちょっと綺麗な幽霊だったしわからなくもねーけどさ」
「うん、確かに絽菊は綺麗なんだ……って! 違うと言ってるだろ!」
「雷鳴さん、私たちも同じです」
「え? 絽菊が好きなのか?」
「い、いえ、そうではなくて……私たちがここにやって来たのはリーヴァに特別な何かを感じたのが発端です。ただ、
その前にこの子の事が放っておけない気持ちがあってのこと。特にこの有理さんはね」
そう言って五月は有理を見た。
「え? まあ……そーゆーことだけどさぁ……」
少し照れて頭を掻く有理は視線を外した。
雷鳴が立ち上がった。
「……わかった。協力しよう。聞きたいことには全て答えてやる。だがその前に片付けれなけばならない事がありそう
だ」
リーヴァの態度に変化があった。有理の腕を掴む手に力が込められた。
「どした? リーヴァ」
雷鳴は障子の前に立つと思い切り開いた!
「出て来い! そこにいるのはわかっている!」
その声に庭の置石や雑草の陰から何かが姿を現した。灰色の甲冑を着込んだ集団だ。関節の隙間から、どす黒い
煙を噴出している。
「リーヴァレインを頂に参上つかまつった」
魔界の騎士は低い声でそう言った。
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