目撃



 酒場の裏のドアが開いた。中から二人の男が出てきた。手には札束の入った黒いバッグを
抱えている。売人たちの商売の"あがり"を回収したマフィアの男たちはそそくさと車に急いだ。
 ドアの前にはエンジンを掛けっぱなしの車が待っていたがドアのノブをひっぱても開かない。
どうやらロックをしたらしい。
「おい、開けろ!」
 男が苛立ちながら窓を叩くが中のドライバーに反応はない。
「早くしろよ! 寒くてかなわねえ」
 まだ反応はない。
「いい加減しろ! このクソやろう! さっさと開けろ」
 ようやくドアのロックが外された。
「ふざけやがて…」
 男がドアを開けた瞬間、空気を切り裂く音が聞こえた。男の額に小さな穴が開いた。後ろに
いた男は事態を察しホルスターから銃を抜こうとした。しかし片手に持ったバッグが彼の動きを
遅くさせた。二発目が発射される。男の心臓に二発連続で銃弾が撃ち込まれる。銃声は消音
器によって消されていた。
 車から赤い服を着た男が降りた。彼が銃弾の主だった。赤い服の男は転がっていた黒いバ
ッグを拾うと自分の持つ大きな白い袋に放り込む。そして足元に倒れる男…すでに息を止めた
男の頭目がけて4発の銃弾を打ち込んだ。



 地味なメタリックブルーのファオードのセダンが酒場の前で停まっていた。運転席のステイシ
ーは酒場の方をすっと見つめていた。マフィアのコカインを売人に卸していると思われる男を尾
行中だった。男の車は酒場の裏に回ったっきり出てこない。裏道は行き止まりになっていて表
通りに出ない限り帰れない。
「中々出てこないな」
「与太話で盛り上がっているか……飲んだくれているか…さて、どうする?」
 エディは腕時計を見た。
「もう少し様子を見よう。それでも何もなかったら中に入って確かめよう」
「そうね……」
 その時、酒場の裏から誰かが出てきた。
「あれは……?」
「サンタじゃないか。仮装パーティーの帰りか、なにかの宣伝か……この季節、サンタの格好を
した奴なんてゴンマンいるぜ」
「そうね……でもサンタなんていつのに酒場の裏に入ったかしら……?」
 ステイシーとドエディは顔を見合わせた。
「気になるわ。ちょっと見てくる」
 ステイシーは車から降りた。


 通行人を装って裏手に入ると車はエンジンをかけたまま停まっていた。近づいていくとステイ
シーは車内の異変に気がついた。
「くそっ! やられた」
 そこにあったのは3つの死体だった。

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