メリークリスマス


「やめてくれ!」
 ガンビーノは向けられる銃口の前で嘆願した。
 彼の助けの声を聞いてる者は目の前の銃を持ったサンタクロース以外いなかった。部下達
は皆、死んだか重症で動けない。
 スモークシールドのゴーグルにガンビーノの哀れな姿が映りんだ。
 サンタクロースはその額に銃を突きつけた。
「……そう言った人間を助けることのない人間に何の慈悲がかけれる?」
「金は出すぞ。お前を雇った人間の倍だそう」
 サンタは首を横に振った
「金の問題じゃないんだよ。ミスターガンビーノ」

 その時、背後のドアが勢いよく開かれた。
「警察よ! 銃を捨てて!」
 飛び込んできたのは銃を構えたステイシーだった
 いつもは憎々しく思っている警官であったがこの時ばかりは騎兵隊に見えてくる。
 ハンドガンを構えサンタクロースに狙いをつける。
 サンタもどこからかもう一丁の銃を取り出しステイシーに向けた。逃げようとするガンビーノに
もう一丁を向けて動きを制した。
「馬鹿な真似はよしなさい。トニー!」
 サンタはその名前に少し驚いてステイシーを見た。
「・・・・・・なぜエディを殺したの?」
 サンタは高笑いをした。
「はははは! そうか!先にエディのアパートに行ったんだね」
「手帳を見たわ」
 サンタは顔を覆った白いマフラーをはずした。マフラーの下はあの初々しい若い警官の顔が
あった。
「うっかりした。大事な形見なのに」
「中には刑事だったあなたのお父さんの捜査上のメモが書かれていた。マフィアと警察の汚職
についてが書かれていた。内部監査室に報告するつもりだったようね」
「けれど、その前に父は殺された。このガンビーノにね。そして父を売ったのはエディ叔父さん
だったのさ」
「ええ、それはあのメモでわかったわ。
「エディ叔父さんは・・・・・・あいつは親父に罪を着せて殺した連中の仲間なんだよ。死んで当然
さ! 僕のことをいいヤツだって? ふん! あいつに僕の何が分かってるっていうんだ。反吐
がでるぜ!」
 そこには優しい笑顔をした若い警官の面影はない。怒りと狂気じみた笑い顔の異様な男だ。

 窓に強烈な光が照らされた! 
 割れた窓の隙間から強烈な風が入り込む! 警察のヘリがガンビーノの屋敷を照らし出し
た。周囲にはすでにSWATが包囲を固めていた。
 続いて投降を呼びかけるアナウンスがされた。
『こちらは警察だ! 周囲は包囲されて逃げ出すことは不可能だ! 武器を捨てて投降し
ろ!』


 呆気にとられるステイシーは警察のあまりに素早い対応に戸惑った。
「驚くことはないさ、ステイシー。警察の上層部にはマフィアとのつながりが暴露されるのを恐れ
る連中がいるんだ。奴らは必死なんだ」
「大人しく投降して、トニー。殺されるわ」
「どっちにしろ連中は僕を殺す気だ。このガンビーノと一緒にね」
「冗談じゃねえ! そんなはずはねえ!」
 ガンビーノは手を上げて振って窓の前に立った。
「よせ!」
 ガラスが砕ける音がした。同時にガンビーノは床に倒れた。
「ぐはっ・・・・・・ばかな・・・・・・」
 血を吐きがらガンビーノはそう呟いた。
「見えてた筈なのに! なんで!」
 ステイシーが怒鳴る。
「言ったろ? 連中は僕らを殺す気だって」
 サンタは倒れるガンビーノの前にしゃがみ込んだ。
「やあ、ミスターガンビーノ。あんたはもうすぐ死ぬ。だが、それは警察の狙撃のせいなんかじ
ゃない・・・・・・」
 ガンビーノは必死の形相でトニーを見た。
「僕に殺されるんだ」
 トニーはガンビーノの頭に銃を当てると引き金を引いた。
 銃声が鳴り響いた。
 薬莢がガンビーノの顔だったものの横に落ちる。
「トニー・・・・・・」
 トニーは立ち上がるとSAWATの包囲する屋敷の外に向かって歩き出した。
「だめ! トニー!」
 トニーはステイシーに振り向いた。
「ステイシー・・・・・・君は"良い警官"だ。僕も君のようになりたかったよ」
「待って!」
 割れたガラス冊子から銃を向けながら外に出た。 
「メリークリスマス!」
 トニーは、そう叫びながら銃を撃ちまくった。
 それをきっかけに取り囲んだSWATチームが一斉に射撃を始めた。
「トニー!」
 ステイシーの叫び声も銃声にかき消されていった・・・・・・





 気がつくと夜空から雪が舞い降りてきていた……


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