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「臨時休業? なんで!」
次の日、戻ってきた有理は居酒屋WWEの前で呆然とした。
「飯、食わしてくれるって約束したじゃん!」
有理はふくれっ面で入り口に貼られた張り紙を見た。
「あれ、やっぱ休みなんだ」
よく店で見かける常連の客が店の前に来てぼやいた。
「やっぱって……ねえ、あんた何か知ってる?」
「あっ! あんた矢追有理だね。噂は聞いてるよ。すごいんだってね」
「ああ、どうも。ところでやっぱってどういうことさ」
「昨日ね、スレイヤーズの司令官が店に来たんだ。皆、焦ったよ。めったに姿をみせない大物がこんなチンケな店に
来るんだからね。で、何かロクさんと話してたんだけど顔つきが急に変って閉店しちまったんだ。俺たちは食い物も食 べかけだったてのに皿を持ったまま外におん出されたってわけ。きっと重要なことなんだろうね。なんたって店も休業 させるくらいなんだから」
「織田のオヤジが……?」
鋼鉄のドアがいきなり蹴り飛ばされた。
中にいた男達は銃をかまえた。
中央にいた傷だらけの大男は侵入者を睨みつけた。
「有理……」
「ひさしぶりだな。織田さん」
織田司令官は銃を構える部下たちを制した。
「何の用だ? 今、打ち合わせ中なんだが」
「夕べ、ロクを連れてっただろ? 何に巻き込んだ!」
織田は葉巻を取り出すと吸い口を切った。
「別に……」
「別にじゃねーよ! あいつが五月さんをほっといて店閉めるってのはありえねえーんだよ!」
「そうなのか?」
「そうさ! あいつが店を閉めるってのは病気してるか五月さんに何か頼まれたときだけだ。馬鹿は風邪ひかねーけ
どな」
「ロクが病気でなければ他に理由があるんじゃないのか? 奴もああ見えて忙しいんだろう」
「けっ! よく言うぜ。あんたが何か吹き込んだのはわかってんだ。教えろよ」
織田司令官は葉巻に火をつけた。
「病気じゃなければ……」
息を吸い込むと葉巻の先が赤く光る。
「もうひとつの理由だろ?」
「もうひとつのって?……まさかそれって五月さんがらみってこと?」
織田は煙を吹かしながら頷いた。
「なんだよ……アホゴリラ。五月さんが心配なのはお前だけじゃないんってんだ」
有理はそう呟くと舌打ちした。
「まあ、心配するな。単なる偵察任務だ」
「おい、場所はどこなんだよ」
「聞いてどうする?」
「心配だから様子見にいく。あいつは現場を離れてから随分経つんだぜ? ドジったらどうすんだよ」
「心配なのか? お前たちは喧嘩ばかりと聞いたが?」
「それとこれとは別! とにかく場所を教えろよ」
「浜松だよ」
「そうか! 浜松か! どうもありがとよ! 織田のオッサン」
「どういたしまして……オッサンは余分だが」
有理は部屋から飛び出していった。
部下たちがハンドガンをホルスターに収める。
「いいんですか? 司令官。あの"有理"ですよ? 作戦に支障でたら……」
「いいさ。浜松の妖魔どもを一掃してくれたらいう事はない」
「えっ? あいつらに?」
「ロクは元陸自の特殊作戦郡の猛者だ。有理はイミール※に立ち向かうほど度胸もあって腕もいい。ただひねくれた
とこがあるから駆り出すのに手がかかる」
「では司令官jは有理を引っぱり出すためにロクを?」
「それもあるが……」
織田司令官は窓から下を見下ろした。有理が建物から出て行くのが見えた。
「ロクにはそろそろ、吹っ切ってもらいたいと思ってな……」
※爬虫類の特性を持つ巨人で妖魔。一話に登場した。
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