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輸送ヘリ"ブラックホーク"がスレイヤーの本部目指して飛んでいた。
中には完全武装した数名のスレイヤーと捕虜にした緑色の妖魔。
その中には有理もいた。
スレイヤーの一人が落ち着きの無い様子で有理に耳打ちした。
「有理さん、本当に俺たちだけで大丈夫なんっすかね?」
「大丈夫って、何が?」
「だってこいつどう見たってただの妖魔じゃないっすよ」
「まあ、そうだな……」
「有理さん、不安じゃないっすか?」
「別に……いや、別の意味で不安かも……」
「はあ?」
有理は気まずそうに頭を掻いた。
「いや、こっちの話。ああ、心配することないって。投降するっつーんだからいいだろ。それ以上の事は気にするな」
「そうは言いますけど……」
その時、緑色の妖魔ハデスが身をよじった。有理以外のスレイヤーが一斉にアサルトライフルを構える。しかしハデ
スは少し身体を動かしたとまた大人しく座り直す。
「おまえら……ビビリすぎだって」
居酒屋WWEの扉が乱暴に開かれた。アーマーベストを羽織った若者が乗り込んできた。
「いらっしゃ……なんだ明智かぁ」
「なんだはないでしょ? ロク先輩」
栗色の髪の男はがっかりしたような顔つきでロクを見た。
「ああ悪いな。お前も客には違いねえ。で、飲みに来たのか?」
「え、まあ、そんなところです」
明智はカウンターの椅子に腰掛けた。
「ロク先輩、知ってますか? 有理の事」
「あん? 有理がどうしたって?」
「偵察任務を受けたって」
「ああ、それなら知ってる。レーヴァをスレイヤーの本部で預かってくれるってんでな。最近稼ぎもなかったしはりきっ
てたぜ」
「織田司令官には僕っていう直属の精鋭部隊がいるってのになんで有理なんだ」
明智はふてくされた様に横を向いた。
「そりゃ頼りになるからだろ?」
「先輩! 僕は頼りにならないて言うんですか!」
「おいおい、俺が決めたんじゃない」
興奮して立ち上がる明智にロクは、なだめる様に言う。
「わかってます。わかってますが……」
明智は再び椅子に座った。
「その人も有理のこと心配なんだよ」
その声に二人が声の方も見るといつの間にかカウンターに座ってレーヴァがいた。
「おわっ!」
気配もせずに接近された二人は驚く。
「な、なんで? お前本部に行ったんじゃないのか?」
ロクは大きな顔を近づけてそう言った。
「うん、でも退屈だから戻ってきちゃった」
「退屈だからって……そう簡単に出入りできるとこだっけ、あそこ」
明智が横で眉をしかめる。
「あなたも有理が心配なんだね」
「心配って? 僕がか?」
頷くレーヴァ。
それを聞いていたロクが大笑いした。
「明智が有理を心配? ありえないね。レーヴァ、お前は知らないだろうが有理と明智は犬猿の仲なんだぞ」
「そう?」
「そうさ。だから心配なんてしてないの」
「でもこの人、なんか有理が好きみたいよ」
「何も言ってんだか。これだから子供は。なあ? 明智。明智?」
カウンターでは明智が顔を真っ赤にしていた。
「明智? 有理を? まさか?」
「そ、そんなこと……」
否定しながらも言葉に詰まる明智。
「でもロクも有理が好きでしょ?」
リーヴァは今度はロクに向って突拍子もない事を切り出した。
「あほ! 俺が好きなのは五月さんだけだ! 泣かすぞ!」
リーヴァに睨みつけながら顔を近づけるロク。その時、誰が店に入ってくる気配がした。
「誰が誰を好きだって?」
入って来たのは長い黒髪の和服美人だった。
「さささささきつ、いや五月さん!」
黒髪の女性はロクににっこりと微笑む。
「ロクさんにも好きな人がいるの?」
「はい! いや、違います! いえ、あれ?」
ロクは直立不動の姿勢でしどろもどろに答えた。
「変なロクさん。こんにちは、リーヴァちゃん」
「こんにちは、五月」
リーヴァは五月を見ると嬉しそうに笑った。
五月はリーヴァの横に座った。リーヴァを挟んで座っていた明智が軽く頭を下げる。
「ど、どうも」
「どこかでお会いになりました?」
「スレイヤーズの本部でたまにお見かけしてました。明智といいます」
「甲賀五月と申します」
五月はそう言って会釈した。
「スレイヤーという事は有理さんのお友だち?」
「ともだち……どゆうか」
リーヴァが五月の着物の裾を引っぱる。
「あのねー五月。この人も有理の事好きなんだよ」
「だーーっ! いい子だから大人しくしててね。ロク先輩、このお子様に何か作ってあげて。僕が払いますから」
その時、明智のアーマーベストに付いていた無線機から声がした。
『隊長』
明智の顔が急に真剣になり無線機を取る。
「なんだ?」
『隊長、大変です。急いで戻ってきてください』
「落ち着け、何があった?」
『有理が……』
「有理がどうしたって?」
『有理がとんでもない奴を連れてきたんです! 今、本部は大騒ぎになってますよ!』
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